きょうこのことを思う

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あの青年は人のしあわせを願い、人の不幸を悲しむことのできる人だ。

それが人間にとっていちばんだいじなことなんだからね。
   

一般的に道徳を習っていれば、

そんな当たり前のことが大事なのかと思う。

そんなこと、できない人なんているの?と。

そこから少し大人になると、

人のしあわせを願うことは、

人の不幸を悲しむことより難しいことに気づく。

人のしあわせから、

自分が持たない、持てないしあわせを妬む気持ちが生まれることに気づくからだ。

人の不幸は、気の毒に思いつつ、どこか心地よさを感じないか?


そういう、見えない悪意やモヤモヤを感じ取るから、

大人になってからの私は、いいことも悪いことも、家族以外の人には言えなくなっている。

人のしあわせを願い、人の不幸を悲しむことが、なんの心の曇りもなくできる人は、

おそらく人と自分を切り離すことのできる、

相対的評価で形成されるこの世の中の価値観に染まらない、極めて珍しい人であり、

本当の幸せを手にできる人。

そして、人を幸せにする第一条件が自分が幸せであることというのが本当ならば、

かれなら、まちがいなくきみをしあわせにしてくれるとぼくは信じているよ

というのは正しい見方なのだ。


この言葉は、藤子先生がご自分のお嬢さんに向けたものだと聞いたこともある。

藤子先生が活躍した時代は右肩上がり。

今よりも確実に物質・お金・学力が幸せな人生を保証したはず。

そんな中で、最高の結婚相手の選び方は、

ステータスではなく心の持ち方で選ぶのだということを言っていたのか。


今の私たちは、なんの迷いもなくそうやって人を選ぶことができるだろうか。

私にはまだできない。

だから泣けるという面もあるのかもなあ。
   

『「待つ」ということ』
鷲田清一


世の中は目まぐるしく動く。

二言目には「早くしなさい」


「待てない」世の中。

急いだって仕方ないのに…と思いつつ、我々はどうしても急いてしまう。

確かに「待つこと」は苦痛だから…



そんな中で「待つこと」の意義を説いている本。

少々難しいけれど、内容に納得することは十分にできる。

不道徳教育講座
著 三島由紀夫
角川文庫
(黒い表紙に
気だるげな女性のイラストが
描かれているのが
一番本の雰囲気に
合っていると思います)

「週刊明星」という
女性向き大衆週刊誌に
連載されていたものとのこと。
なるほど、ゴシップガールに
語りかけるような文体。

うんとお節介を焼くべし
流行に従うべし
「殺っちまえ」と叫ぶべし
オー、イエス

刺激的。
逆説が効いている。 
しかし、
「なんだかんだ
社会通念からは
離れられないものだよねー」
という終わり方がされているところに
人間らしさを感じる。

1章5分。
大人の読書にぴったり。


ところで私が特に好きなのは

「先生を内心バカにすべし」

先生に対しては、勉強はしておくも
精神的キョリをとるーー
先生の言うことを盲目的に聞くのも
表立って反抗するのも
コドモ。
「本当の大人は、
最悪の教師の何万倍も
手ごわいのです。」



本当はこれじゃなくて、くつろぐ女性の絵の表紙を勧めたいけど…

洋酒好きがこの作品を知らなかったら

モグリだとさえ言われるらしい一作。

バーテンダーからもそのお酒の知識を信頼される漫画。

私はBSフジのドラマで知った。

マスター役の中村梅雀さんの語り口が非常にいい。

常連客のレギュラーキャラ、

メガネさん・松ちゃんも

漫画と少々雰囲気が違うがそれはそれでいい味を出している。

メガネさんの声は渋くていい。

松ちゃんは表情豊かでいい。



だが、本作で一番いいのは、なんといってもストーリー。

シンプルな、明らかにフィクションと感じる話ばかりだけど、

確かに心を打つ。

お店に来る人達は、

何かしら悩みを抱えていたり、

人生の転機に差し掛かっていたりする。

その問題を、その人にぴったりのお酒で解決していく。

そこに添えられるマスターの酒知識が絶妙。

2016年9月現在、season2が終わろうとしている。

season3を切望。

しかも、BSではないフジテレビでやってほしい。

深夜枠で構わないから。

(むしろその方が雰囲気が合っていいかも?
それに、9時・10時枠だと、キャストが人気取りに走りそう…
1話だけ出てくる人はともかく、主役の三人は絶対に変えないでほしいな…)


明日は本作を見て思ったことを書く。

『怖い絵』シリーズ
中野京子
角川文庫

各章、一枚の絵から始まる。
一見、暗い感じや怖い感じはするけれど、綺麗な絵。
だが、そこには深い闇がある。
死のにおいのする王朝。
血みどろの歴史を持つ国の歴史。
虐げられた人々。
芸術家の心の闇。


人間ほど怖いものはない。


使われている言葉は決して易しくないので、万人に勧められる本ではない。
しかし、一度この世界にはまれば、
たちまち中毒になる。

著者・中野京子先生は、
日テレ「世界一受けたい授業」にも
出演されたことがある。
それをご覧になり、おもしろいと思われた方ならば中毒になれる。

私はこの本からはいったのでこれを勧めるが、
中野京子「怖い絵」ならなんでもおもしろい。

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